盛岡タイムス Web News   2018年   6月  30日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局山下浩平 石川遼さんから孫の兵法


 孫子の謀攻編「知彼知己、百戦不殆(彼を知り己を知れば、百戦してあやふからず)」はあまりにも有名な一節で、多くの場面で引用されている。中国・春秋時代に作成された兵法書にもかかわらず、孫子の内容は現代、分野を問わずさまざまな考え方に応用できる。記者業についても、自分の能力や立ち位置を把握することや、取材対象へ理解を深めることが、精度の高い成果へとつながる。

  国内男子ツアーのジャパンゴルフツアー選手会長の石川遼さんが今月、初来県し、15日には県社会福祉協議会に対し、選手らの獲得金の一部を使った福祉車両を贈呈した。過密な日程の中の来県。残念ながら、本県の沿岸被災地は訪問できなかった。

  同日の取材の中で、記者の「沿岸被災地を訪問する考えは」の質問に対し、石川さんは「自分が被災地に行くことで力になれるのか、という思いはある。自分にはゴルフしかない。唯一持っているゴルフの力を借りて、いろんな地域へ行きたい」と、謙遜気味に応えた。

  「ハニカミ王子」と呼ばれ、現在も高い人気を誇る石川さん。今年、最年少で会長に就任した一方で近年、戦績は低迷し、今年は国内ツアーを軸にプレーを続けている。石川さんが発した言葉の節々には、プロとして今の自身を冷静に分析し、会長として、または選手として対外的に、本当に必要なことや求められていることへ注力したい、というような考えが感じられた。

  石川さんは記者より2学年下。記者が高校3年次に、石川さんはアマチュアとして日本のプロゴルフ大会で史上最年少優勝を果たし、翌年1月にプロデビュー。思い出してみると、大学受験に向け忙しい時期、石川さんの話題でにぎわっていた。

  ふと思い出した孫子の一節。石川さんの現在の心境はまさに「百戦不殆」へ向かう道中と感じた。母国から再起を期す姿を応援するとともに、記者自身が今なすべき「知彼知己」について熟考しようと思う取材だった。


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