2015年 9月の天窓


 2015年  9月  30日 ― 三重受難と戦う福島 ―
 今月は3泊4日で福島、宮城の被災地を車で駆け巡った
▼福島原発事故による放射能汚染で今も「帰宅困難区域」指定が解除されない富岡、大熊、双葉、浪江の4町も訪ねたが4年半が経過しても全町民が避難生活を強いられる現実に言葉を失う。人の住まない静けさに住民の怒りを聞く思いがする
▼車を降りることはもちろん駐停車厳禁の地域もある。国道を走ると要所に放射線量が表示され、脇道への入り口には「立ち入り禁止」の看板があり防護服を着た警備員が立つ。この光景を避難先で伝え聞く住民の苦衷を思う
▼仮に指定解除になってもすぐ帰りたい老齢者と、共に避難中の若い家族が子どもの放射能汚染を案じるなどの事情で「帰りたいけど帰れない」と言うケースもある。今月5日に帰宅困難区域を解除された楢葉町でも、それが深刻な課題になっている
▼一方、大震災津波は原発事故を起こしただけでなく福島沿岸地域も襲う。立ち寄った道の駅も仮店舗だ。責任者は全てが流されてから1年半後に、手作りのバラック駅をオープンした苦労を涙を浮かべながら語ってくれた
▼稲穂が色づく田があり間を置いて荒れたままの泥田が広がる。そんな農家の明暗も目にする。地震・津波・原発と福島の三重受難からの復興には国が一層の全面支援を急ぐべきだろう。

 2015年  9月  29日 ― 対流促進形国土の形成 ―
 ススキや萩の花が真っ盛りとなって秋たけなわとなってきた。秋風が吹いてくると、来年度の予算要求や人事の作業が始められる。
▼新聞紙上などでは、来年度の概算要求の記事が目に付くようになったが、平成28年度の本県の重点施策はどのような内容になっているのだろうか。既に東日本大震災津波から4年半経過、来年度は6年目。重点復興事業は前半の5年を経て、後半に入っていく。
▼震災復興に絡む、住宅の再建や産業の復活といったことが最優先だろう。地方創生にはどのような施策が盛られていくのか。人口の減少と高齢化の進展によって過疎化を放置してはおけなくなっている。
▼農林水産業や地元商工関係の在り方にも従来とは変わったテコ入れが必要になっているのではないか。本県の小中学生の学力向上に向けた教育の重点化についても取り組まなければならない。もちろんのこと希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の開催を成功させなければならない。
▼国土交通省の概算要求を見ると「対流促進形国土の形成」といったことがうたわれ、人口減少・高齢化が進む中山間地域で「小さな拠点の形成」がうたわれている。「対流拠点」とは地域外の人々も利用する施設を組み入れることを意味しているようだ。よく工夫すべきだろう。

 2015年  9月  28日 ― 9条とノーベル平和賞 ―
 今年のノーベル平和賞発表は来月9日だ。この賞は国家間の友愛の促進や常備軍の廃止・縮小のほか、人権擁護、非暴力による民主化や民族独立運動などに貢献した個人・団体が授与の対象になる
▼首都圏の一人の主婦が憲法9条は武力を使う戦争の放棄を宣言し、戦後日本の長期平和を支えているので「同賞に該当するのでは」とひらめいたという。彼女は13年5月に有志と「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会を設立する
▼サイトや口コミで賛同の輪を広げる署名活動も展開し、推薦人として必須の大学教授らもそろい昨年初頭、受賞対象を「日本国民」としてノーベル委員会に候補申請を行う。これが受理されて世界的にも注目を浴び発表直前には9条有力などと報道された
▼だが結果は命懸けで女子教育を進める少女マララさんと、インドの児童問題活動家に決定。及ばなかった9条は今年も挑戦し候補入りしている。なお受賞者を具体化させ大江健三郎氏らが共同代表を務める「九条の会」に切り替える案も出ているという
▼9条には「国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する」「国の交戦権はこれを認めない」とある。安保法制との距離にはあ然とするが、平和賞には立派な論拠になる。

 2015年  9月  27日 ― 北陸新幹線に乗って ―
 3月に開業した北陸新幹線に乗ってみたいと思っていたが、なかなかチャンスがなかった。以前は東海道新幹線で米原まで行って、北陸本線の敦賀経由で金沢に行った。
▼北陸新幹線の開業で東京からは乗り換えなしの直通で2時間28分。盛岡からは大宮乗り換えで、金沢まで片道約4時間。来年の3月には北海道新幹線新函館北斗〜新青森が開業するが、そちらも東京から約4時間となる。時間距離はともかくとして、海底トンネルを走る興味も加わり、利用客が多くなるのではないか。
▼北陸新幹線は東京圏からの観光客や外国人旅行客であふれていた。9月のシルバーウイークを利用して和倉温泉と長野の善光寺参りを企画したが、JRの窓口ではホテルなど1カ月前でも予約がとれなかった。和倉温泉はキャンセル待ちもとれず、金沢と長野はキャンセル待ちでようやく1週間前に確保できた。
▼旅行日程を練り直し、金沢は市内観光定期観光バス、長野は早朝の善光寺の「お朝事」、昼の「お戒壇めぐり」に変更した。金沢市と長野市の変貌に目を見張った。
▼金沢は兼六園、金沢城、茶屋街、武家屋敷などあらゆる歴史遺産を観光に生かしている。長野の善光寺は相変わらず全国からの参拝客でにぎわっている。盛岡路の観光施策も見直さなければならない。

 2015年  9月  26日 ― 中秋の夜空の美 ―
 俳人の油布五線は秋の夜の天の川を詠む。「銀漢や夜は誰(た)がために美しき」と
▼「銀漢」は中国古代の漢の時代に生まれた「天の川」を指す言葉。近年はこの川にまつわる七夕の行事を新暦7月に行う地域が多く真夏を連想しがちだが、「天の川」も「七夕」も秋の季語だ。さながら銀の砂をまいたきらめく大河に見える銀漢・天の川は秋の晴れた夜こそ美しさが際立つ
▼俳人がその銀漢の美しき眺めはいったい誰のためなのだろうと感嘆しているが、中秋の夜空を仰いで同じような感慨を抱く人もおられよう。「四季の歌」にある「愛を語るハイネのような心深き人」でなくとも、「ああ、自分のために銀漢は美しくきらめいている」と誰もが独り占めしてもいいのではないか
▼さらにあすは旧暦8月15日だ。夜空が晴れれば年間で一番美しいとされる「中秋の名月」を仰ぎ見ることができる。このところ月々の満月も台風余波などでしばしば雨天曇天に妨げられているが、あすはどうか。予報では台風21号の日本上陸はなさそうだ
▼岩手県内は曇り後晴れらしい。雲があってもせめて「十五夜の雲のあそびてかぎりなし」(後藤夜半)のように群雲が風で飛び瞬時隠したり、離れたりと戯れながら名月を引き立てるなら名画にもなる。完璧に晴れるなら言うことはない。

 2015年  9月  25日 ― 北海道新幹線に期待 ―
 北海道新幹線新青森―新函館北斗間が来年3月26日開業することになった。新幹線が初めて津軽海峡線を通り東北新幹線と直通運転し、東京から新函館北斗間が約4時間で結ばれる。
▼1日10往復の運転となるほか、仙台・盛岡・新青森と新函館北斗間にそれぞれ1往復の運行が設定される。これによって、関東圏、東北圏と北海道との移動時間が著しく短縮され、広域での交流と経済活性化の促進が期待される。
▼愛称名は東京および仙台―新函館北斗間が「はやぶさ」、盛岡及び新青森―新函館北斗間が「はやて」となる。所要時間は新函館北斗から新青森まで約1時間、仙台まで約2時間半。函館から在来線利用よりも1時間程度短くなる。新函館北斗から函館間は「はこだてライナー」で接続される。
▼一般的に4時間の壁は「空路」を選ぶ際の目安といわれ、これからは東京、函館間で航空機を選ぶか鉄道を選ぶかが選択肢に幅がでる。新幹線のスピードアップ、函館へのライナーでのつなぎが改善のポイントになっていくのではないか。春に開通した北陸新幹線は開業前の在来線特急の3倍に乗降客が膨らんだが、来春は東北・北海道に人の動きが転じるのか。経済効果の概算で約75兆円と弾かれ、新しい経済圏の活性化に寄与すると期待されている。

 2015年  9月  24日 ― 波紋広げる安保関連法制 ―
 成立前から安保関連法制を一部野党は「戦争法案」と呼ぶ。与党側は「違う。戦争をさせない法制だ」などと反論する
▼確かに法案の詰めの段階で連立を組む公明党が、自衛隊の海外派兵(同盟国防衛共闘)に二重三重の歯止めをかけ、条件を限定した経緯には「戦争をさせない」姿勢の一端はうかがえる。だがその厳格な条件を満たした状況下では、自衛隊の出動を認めるわけだから戦争に道を開いたことになろう
▼海外のマスコミも安保関連法成立の速報でその点を率直に伝えている。ニューヨーク・タイムズ(電子版)では「海外での戦闘任務を可能にし、何十年も続いた自衛のための軍事力の行使という政策をひっくり返した」とまで書いている
▼英国のBBC(電子版)は多くの日本人の心情を「海外での戦闘を禁じる憲法の平和主義条項に思い入れがある」と述べ、安保法成立で「安倍首相の長年の野心の一つが実った」と指摘している。憲法の戦争放棄条項を骨抜きにしたいとの安倍さんの野望は海外でも認知されていたわけだ
▼一方国内では共産党が安保関連法制廃止に向け「国民連合政府」構想を提唱。次の国政選挙で民主党など野党が統一戦線を組み安倍政権を打倒しようと呼び掛けている。さて「反安保法制」を旗印に国民大衆のうねりが起こるかどうか。

 2015年  9月  23日 ― 紀の国和歌山国体の秋 ―
 秋の彼岸入りは20日、彼岸の中日は23日で「秋分の日」。昼夜の長さがほとんど等しくなるのが春分と秋分のそれぞれ3日後になるという。従って彼岸明けの26日あたりが昼夜の時間がほぼ等しくなるのだろうか。まさにつるべ落としに暮れていくこのごろだ。
▼お彼岸明けには、紀の国和歌山国体が始まる。10月初めまで約2週間開催されるが天候に恵まれるのか気になるところだ。来年は本県の国体開催であり、そのためにも選手・役員の活躍がとりわけ期待される。また競技会場となるそれぞれの市町村から視察も兼ねて派遣が多いことと思われる。いよいよ来年の本番に備えての諸準備が忙しくなってくる。
▼和歌山県でも開催地が各市町村に分散しているようなので、選手・役員の宿泊や輸送などが大変なようだ。開閉会式はともかく、広い県内のことで取材に出向く方も大変だが、来年の本県開催に備えてよく見ておかなければならない。
▼9月は茨城、栃木、宮城などが台風18号の影響で大被害を受けた。本県は幸い大きな被害はなかった。水稲などは平年並みの作柄のようだが、早くも刈り取り作業が始まる。リンゴやブドウなどの果実も落果被害などがなく、ほぼ順調に収穫できるのではないか。次第に年も押し迫る。紀の国の紀の字は、時のけじめでもある。

 2015年  9月  22日 ― 「やばい」が褒め言葉に ―
 「やばい」という言葉がある。盗賊などの隠語(仲間だけに通じる言い回し)に由来するという。盗みが発覚しそうになって仲間に「やばいぞ、逃げろ」というように用いられたとされる
▼そこから転じて一般の人々の間でも危険が迫る時や、都合の悪い事情の際などに「やばいぞ」「やばいな」というように使われるようになったらしい。歌は世につれというが言葉もまた時代とともに変容していく。「やばい」も目を見張る変化をしている
▼昨今の若者言葉では盗賊の隠語由来の暗いイメージは消滅。称賛を意味する明るい言葉として用いられていることが、文化庁主宰の14年度「国語に関する世論調査」で判明した。それによると「やばい」は「素晴らしい」「格好いい」「すごい」など褒め言葉として使われているという
▼調査によると普及の度合いは全体の25%を超え若者にはほぼ定着している。旧来の意味と違うから目を白黒させる大人も多かろうが、やがて高齢世代が「やばい最期を目指すよ」などと言い出すかもしれない
▼以下は実話…《近くの食堂で若者が「これ、やばい」と褒めたつもりで言う。店主が虫でも入ったかと慌てる。若者が「すごくおいしいという意味なんです」と説明。双方が笑顔で「やばい」の新旧を語り合う》。そんな楽しい展開もある。

 2015年  9月  21日 ― 陸前高田のベルコン終了 ―
 かさ上げ工事のため、陸前高田市の気仙川に架けられた総延長3`のベルトコンベヤーの仮橋は、その役割を終えて15日に作業の終了式が行われた。そして、惜しまれながら、10月1日から解体工事がスタートする。
▼希望のかけ橋のみは来年3月まで残されるが、市民からは1年半にわたる大事業を無事故で成し遂げた世界に誇れるベルトコンベヤーと、携わった工事関係者をねぎらう声が上がっている。
▼世界に類を見ない巨大なベルトコンベヤーと仮橋は、陸前高田市震災復興事業としてその威容から人々を圧倒し、見学者が増え続け、今年1月から延べ9万3千人余の観光があったとか。工事施工は、清水・西松・青木あすなろ・オリエンタルコンサルタンツ・国際航業JVのプロジェクト。プロジェクトマネージャーは峰澤孝永さんであった。
▼昨年3月末から施工されてきた土砂運搬事業で、対岸の125bの山を45bまで削って運搬する工事。硬い岩石へ発破の回数増などで当初予定していた工期より4カ月ほど延びたが、ダンプカーで運べば9年近くかかる搬送を1年半に短縮した。日本の建築土木技術力の高さが証明された工事だった。
▼ベルコンの稼動終了で事業全体の進捗(しんちょく)は6割とみられているが、今後もかさ上げ工事などは続いていく。

 2015年  9月  20日 ― 解釈改憲の危険なにおい ―
 良識の府参院に怒号が飛び交い与野党議員諸氏が乱闘になる
▼17日の集団的自衛権行使容認を審議する安保法制特別委員会の光景だ。与野党が対立し腕力や足蹴りでぶつかり合うさまは見苦しい。女性議員までが加わり絶叫していたのである。一緒にテレビに目を向けていた高3の少年が「これって平和安全と逆じゃん。あ、戦争法案らしいかも」と笑う
▼各種世論調査は国民の約6割が今国会採決に反対と伝えているが、安倍総理は数の力で強行する。先の特別委員会も与野党もみ合いの隙を突いて、鴻池委員長が採決の開始を告げ瞬時に賛成多数で可決。野党の山本太郎議員が「自民党が死んだ日」と書いたプラカードを掲げ憂さを晴らしていた
▼野党が繰り出す問責や不信任の決議案も数不足で成立は無理。だから胸を打つ提案演説があっても空しくなる。国会周辺から「反対!」の叫びが響く19日未明に開会した参院本会議で安保法案は成立してしまう
▼だが集団的自衛権行使は歴代内閣法制局が違憲とし法律の適否を最終判断する最高裁の元長官も違憲と明言している。安倍総理は三権分立の垣根を壊して「行使容認」と解釈を逆転。閣議決定し法案も成立させた
▼麻生副総理が示唆したナチス流憲法骨抜き手法の危険なにおいが漂う。適否を裁判に問う動きも出ている。

 2015年  9月  19日 ― 朝ドラ「どんど晴れ」再放送 ―
 NHKBS2で再放送の「あまちゃん」は間もなく終了する。寂しいと思うファンも多いと思うが、引き続き10月5日から再放送されるのが盛岡の老舗旅館を舞台設定に07年放送の「どんど晴れ」。なぜ岩手が舞台の朝ドラが連続するのか、番組編成の意図を聞いてみたいところだ
▼岩手にはご承知の方も多いはずだろうが、どちらのドラマも名女優宮本信子さんが重要な役どころで出演している。「あまちゃん」に宮本さんが出演した時点で、いわて文化大使になってもらえないかと思ったものだ
▼「あまちゃん」の「じぇじぇじぇ」に対し「どんど晴れ」と言えば「おもてなし」の心。滝川クリステルさんの五輪招致プレゼンテーションで「お・も・て・な・し」は海外まで知られるようになったが、岩手県人としては火付け役は岩手・盛岡と声を大にしたい。その20年東京五輪・パラリンピックは国立競技場建設やエンブレムデザインの双方で決定後に撤回という大失態を演じた。まだ問題は解決しておらず、開催決定の時の感動からはすっかり冷めてしまったという人も多いのかもしれない
▼いわて国体冬季大会開幕まで19日で100日と迫ってきた。多くの県外客に「おもてなし」の神髄を全国に見せる機会になる。全国大会の成否に大切なソフトパワーを示そう。

 2015年  9月  18日 ― ネット回答導入の国勢調査 ―
 例えば人口の多い地域もありその逆もある。義務教育年齢層や高齢世代が占める率も地域によって差がある
▼それらも含め国民生活の全国的傾向や地域的特色を反映した統計数値があれば、国も地方自治体も的を射た対応ができる。こうした背景から日本居住の全ての人及び世帯を対象に、5年ごとに実施されるのが国勢調査だ。調査はその年の10月1日現在の実態を反映させる趣旨で行う
▼調査結果のデータは行政のほか民間も利用できる。調査は「西暦が5の倍数の年」に実施する。今年もその年で早くからPRもされてきた。第1回の国勢調査実施は1920(大正9)年だから、今年は第20回目となる
▼今回特筆されるのはパソコンやスマートフォンなどのインターネットによる調査回答方式を導入したことだろう。ネット回答利用案内書は地域担当の調査員が今月初旬に各戸に配布。10日に受付を始め14日までの5日間で回答は約934万件に達している
▼締め切りは明後20日だ。当方も利用したが15分前後で回答できる。まだの方にもお勧めしたい。ネット回答以外のお宅には21日以降に調査員が調査票を配布。提出方法も伝えるという。一部に偽装調査員の動きもあるので注意したい
▼全国の全世帯が参画する貴重な統計資料作成事業が成功裏に終わることを願う。

 2015年  9月  17日 ― スポーツ庁の発足 ―
 名前を聞いて、そういえばなかったと認識させられたのがスポーツ庁。初代長官に競泳のソウル五輪金メダリスト鈴木大地さんの起用が決まった。文科省の外局として10月に発足する。同省外局では、1968年発足の文化庁がなじみ深く、歴史がある。これで国のスポーツ行政も文化行政と肩を並べられるのかもしれない
▼スポーツといえばオリンピックなど大きな国際大会では普段は関心の薄い国民も日本の活躍に熱い声援を送る。その熱狂を見ると、スポーツの持つ力を思い知らされる
▼スポーツ庁発足の分かりやすい効果としてまっ先に浮かぶのは、20年東京五輪をはじめ、競技別W杯や世界選手権などでの日本勢躍進といった成績、結果だろうか。しかし、問題となった国立競技場が立派になれば競技力が向上するわけではない。今回の外局設置は、縦割りの解消により、複数の省に分掌されている業務を統括して総合的に施策展開することが狙い。鈴木さんは引退後の経歴から幅広い視野で物事を見て判断する力量を備えてきており、その手腕に期待したい
▼それでも鈴木さんの原点はアスリート。日本の競技選手の育成だけでなく、誰にも門戸が開かれ、楽しむことができる土壌作りを望みたい。土壌を耕し「スポーツ文化」の花を多く咲かせられるだろうか。

 2015年  9月  16日 ― 次の朝ドラ「あさが来た」 ―
 明治時代に「七転び八起き」に二つ加えて、ペンネームを「九転十起生」とした女性実業家がいる。今月28日から始まるNHK連続テレビ小説「あさが来た」のヒロインは、その不屈の人・広岡浅子をモデルにしている
▼彼女は江戸後期の1849年に関西の豪商・三井家一族に生まれる。幼少期から縫い物、琴、生け花などの稽古を嫌い文献素読など学問にいそしむ。だが「女に教育は不要」というあの時代。家族から読書を禁じられ17歳で両替商を営む加島屋に嫁ぐ
▼仕事に目を向けず遊興に明け暮れる夫。浅子は店をつぶすわけにはいかないと簿記、経理などを独学。店を背負い立つ。次第に力量を発揮し両替屋を加島銀行に発展させ、筑豊の炭鉱も経営。拳銃を携え炭坑夫と寝起きを共にした逸話もある
▼男社会の女傑に反発もあったがそれも克服。明治政府の伊藤博文らも助力する。彼女は人の命を守ろうと大同生命も創業。宿願の女子教育にも着手し日本女子大設立にも尽力。命に及ぶ大病も乗り越えて、晩年にはペンネームで執筆活動にも精魂を傾ける
▼古川智映子著「小説 土佐堀川」(潮出版社)は大阪の商業地を流れる川を表題に、浅子の生涯を実話風に描いている。NHK「あさが来た」は同著を原案に脚色し架空のドラマにしたという。展開が楽しみだ。

 2015年  9月  15日 ― 災害列島に備え ―
 岩手山が噴火したのは貞享3(1686)年。南部藩史の内史略に2月29日から3月4日までの噴火の状況が記されている。麓の滝ノ沢へ溶岩が流れ、地震が起こり、盛岡城下に大いに灰が降ったと記述されている。岩手山は活火山とされており、噴火の警戒は怠れない。
▼9月11日で東日本大震災津波から4年半が経過した。この日は統計的に台風通過の時期と重なる「二百二十一日」でもあった。これから秋深まり、日本列島は「台風銀座」の警戒も必要だ。近年は予測できないような天変地異が起きる。突然の噴火活動、50年、100年に一度といわれる豪雨に見舞われる。河川が氾濫し、土砂崩壊などで大被害を受けたのは本県でも記憶に新しい。
▼台風18号の影響や、10日から11日にかけては本州の真ん中を帯状に北上した低気圧による豪雨により、栃木県の鹿沼、鬼怒川、福島県の南会津、宮城県大崎などの河川が氾濫して堤防が決壊した。家屋の浸水、人身被害、道路の決壊などをもたらした。異常な豪雨にも耐えられる河川の対策がとられていたはずなのに、予想をはるかに超える降雨量となった。
▼その復旧もままならぬうちに、九州の阿蘇山が噴火を起こした。日本は災害列島であり、国土強靱(きょうじん)化対策を見直さなければならない。

 2015年  9月  13日 ― 世界自殺予防デーに ―
 毎年9月10日は「世界自殺予防デー」である。今年は「救いの手を伸ばしいのちを守ろう」をテーマに、世界各地で啓発活動が展開された。日本では10日から16日までを「自殺予防週間」とし各種啓発運動を繰り広げている
▼内閣府がまとめた「自殺対策白書」では1972年〜2013年の42年間に自殺した児童生徒の人数を、発生月日別に折れ線グラフで表示しているが、特に夏休み明けの登校日前後の自殺数がほかの時期に比べ突出していることが分かる
▼過日も触れたが憂慮すべきこの事態をどう改善するかは全国的に焦点になっている。子どもたちの死にたくなるほどの苦悩やつらさに、今年のテーマのごとく救いの手を伸ばしてその命を守りたい。もちろん苦しさのあまり自死を選んでしまうのは若年者だけではない
▼生きることへの絶望から自ら命を絶つ人は老若も男女も問わない。厚労省が今年6月に発表した昨年の人口10万人当たりの自殺者数(自殺率)で、本県は「26・6」となり28年ぶりに全国最多となってしまった。県は今年4月に本年度から30年度までの自殺対策アクションプランを策定したが、強化は待ったなしである
▼周囲が予兆に気付き心の声に耳を傾け一緒に専門医を訪ねる。県民個々のそんな関わりも、生き抜く方向への転機になるといい。

 2015年  9月  12日 ― 我が家に子犬がやってきた ―

 わが家に子犬が舞い込んできた。これまでの老夫婦の静けさが、大変な騒動になっている。5月生まれのシー・ズーの子犬で、大小のしつけもできていないし、粗相ばかりしているから困ったものだ。柵の中に入れるとダッコして欲しいとキャンキャン騒ぐ。
▼長男の友人の青森市でペットを飼っている家で子犬が4匹生まれ、今年の夏に青森へ海釣りに行った折、あまりにもかわいいので譲り受けてきたという。自分は狩猟犬2匹を飼育しているのでこれ以上は無理と、その子犬を親にプレゼントしたものである。
▼両親が高齢になっているから「ボケ防止」にペットを飼ったらどうかと考えたようだ。一応は血統証付きで、生まれは良い。まだ幼いので離乳食を食べさせているところで、予防注射を済ませないと外のお散歩はできない。50年ほど前にスピッツを飼った経験はあるのだが、そのときは屋外での飼育であった。子犬は朝の目覚めが朝4時と早過ぎて、生活スタイルを合わせなければならなくなった。
▼生活時間がすっかり変わって、子犬も老夫婦もすっかり疲れてしまった。「犬をかわいがれば、それだけ応えてくれるもの」と言われているが、これから大きくなるだろう。こうなったらもう返すわけにはいかないし、いったいどうしたものか。

 2015年  9月  11日 ― 庶民の味サンマの規制 ―
 猛暑が一転し空も秋めいて涼風が心地いい。サンマも食べ頃である。「このごろのみづいろの空秋刀魚(さんま)買ふ」(小谷野秀樹)
▼わが家には毎年発送を託している沿岸被災業者から先月末にクール便が届いた。以来、秋刀魚の字のごとく刀身のような姿をした生きのいいサンマが連日食卓に並ぶ。屋敷の広い実家で暮らした半世紀前には七輪を庭に出し、炭火で焼きながら幅の広い縁台で食べたがあの雰囲気も懐かしい
▼夕食時が多く焼く匂いが煙と共に漂うお膳で、大人は酒を酌み交わしサンマに箸を伸ばす。子らも上手に骨をよけて口に運ぶ。今はマンション生活で魚もガスで焼き油煙も上部の吸煙筒が吸い上げてしまう。それを文化的と称するようだが高齢の身には、味わい深い七輪焼きの風情が忘れられない
▼居住事情や焼き方の違いはあっても、庶民の味として親しまれるサンマの評判は変わらない。この秋もしっかりいただいて、来秋もまた旬の美味を楽しみたい。ただ気になる情報も耳にする。既にクロマグロなどの漁獲規制が強まっているが、サンマも漁獲抑制への動きが始まっているのだ
▼中国、台湾などの漁獲増を背景に北太平洋漁業委員会が、各国の漁獲量上限を2年後までに提示するという。サンマが初秋の膳から遠ざかる時が来るのだろうか。

 2015年  9月  10日 ― 小山茂さんを偲ぶ ―
 金野静一さんの「新・三陸物語」で挿絵を担当していた盛岡市のこやましげるさんが8月亡くなった。同市在住の劇画家、宮西計三さんの後任で連載は滞りなく進んでいるが、読者になじみ深い「こやまタッチ」が見られなくなり、寂しがっている方は多いと思う。長年、紙面で歩みをともにしてこられた金野さんも、とても残念がっておられた。
▼こやまさんは締め切りなど言うまでもなく、時間通りに原稿を送ってくる人だった。山藤章二に作品を認められ「似顔絵師」を自称し、有名無名多くの人を当意即妙に描いた。
▼時間に厳格なのは、元自衛隊員だったからだろう。柔らかい描線のうちにも、必ずきりりとペンを引き締めた。ときに男性的、ときに女性的な表情を見せる三陸の海の物語を描くには、実にふさわしい書き手だった。
▼失礼ながら、亡くなって初めて福島県出身とうかがった。現職時代の使命感を思えば、被災した故郷のため何とかしたい思いだったろう。岩手にいて同じ被災地の三陸を励まそうと、最後まで画才を振るい続けてくれた。
▼後任の宮西さんは別連載「玄武門のメロディ」の挿絵でおなじみ。ピンチヒッターで急きょ担当してもらうことになった。緻密な描線、新しい画風で彩る「新・三陸物語」を楽しみにしてほしい。

 2015年  9月  9日 ― 分割統治免れた日本 ―
 先の大戦で米英仏などの連合軍と戦ったドイツは、日本より早く1945年5月に無条件降伏をしている
▼連合軍はドイツ中央政府を置かず、米英仏ソの4カ国が国内を4分割し占領統治した。同じ無条件降伏でも日本は政府存続を認められ、戦後7年間は占領下に置かれたが分割統治は免れている。ところが連合軍は当初は日本も分割統治をする計画を作成していたのである
▼計画書は今も米国国立公文書記録管理局に保存されている。計画によると統治国は北海道・東北は旧ソ連、関東・中部は米国、近畿が米国と中国の共同管理、四国は中国、中国・九州が英国などとなっている。絶句するような計画だがこれが廃案になるのだ
▼背景には原爆を持つ米国へのソ連の警戒や逆に欧米側の共産国進攻への不信など、東西冷戦の予兆のような意識のずれが日本の分割統治をためらわせた等々、諸説がある。当時の重光葵(まもる)外相の尽力もある
▼外相は連合軍首脳に会い日本は分割でなく、国民が崇拝していた天皇を通して統治した方が簡易に進むと主張。これが受け入れられたとも言われる。諸説の上に決め手になったのかもしれない。同外相は日本の国連加盟も主導した
▼難航の末に56年12月の国連総会で加盟が実現。大役を果たして外相を辞し翌月に世を去っている。

 2015年  9月  8日 ― 無投票当選者の心構え ―
 6日に投票の行われた県議選で八幡平選挙区の有権者がこぼしていた。知事選もなくて投票できなかったと
▼県議選は16選挙区中6選挙区で無投票当選となった。知事選も告示の差し迫った時点の出馬辞退で達増拓也氏の3選が無投票で決まった。盛岡市民は、市長選、市議選と続き、ずっと選挙していた気分だが、地域によっては県政のダブル選挙へ「参政権」を行使できなかった
▼かやの外とは、不利な扱いを受けることが第一義の意味と思うが、物事に関与できない状況に置かれることも言い表す。他選挙区で選挙戦が行われ、連日の報道に接し、県議選無投票の選挙区民は、かやの外という心境で選挙期間を過ごしたかもしれない
▼県議選で無投票が決まった数人の現職と直後に話をした。「やっぱり選挙をした方がいい」と話す現職は4年間の議員活動がどう評価されたのか判断しにくいという。別の現職は「責任がより重くなる」と背筋を伸ばす。ほかにも誰一人として無投票で良かったという言葉は発しない
▼県議選の無投票区は前回選より今回が多く、知事選は公選制で本県初の無投票。だからこそ投票の洗礼を受けなかった当選者は「白紙委任」ではないと自覚し、投票できなかった有権者の思いをくみ取り、より謙虚に県民の幅広い声に耳を傾けてほしい。

 2015年  9月  7日 ― 共感呼ぶネット短文投稿 ―
 ツイッターというネット上の短文投稿サイトには時折、反響を広げる逸話が登場する。当方は今頃気付いたが40日も前に若い男性が投稿した「妊婦に席を譲った男子高校生」にまつわる短文は、今も共感のつぶやきが絶えない
▼次のような内容だ。《妊娠中の姉が満員電車に乗った時に高校生の男の子が席を譲ってくれ、有り難いなと思っていたら彼が言う。「覚えていないと思いますが俺が小学生だった頃に、毎日同じ駅であなたに席を譲ってもらいました。今度は俺の番です」と》
▼姉が「男の子にそう言われ私が電車通学していた高校生時代に、いつも始発駅から乗るから座っていくと毎日同じ駅から乗ってくる小学生の子がいて、席を譲ってあげたことを思い出した》(要旨)と語ったことも書き添えている
▼ツイッターといえば夏休みが終わり登校する日の前後に、子どもの自死が急増するデータを憂慮した鎌倉市図書館の女性職員が、先月下旬に児童・生徒らに語り掛けるような短文を投稿したことにも称賛の声が高まっている
▼それは《学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい〜死んじゃおうと思ったら逃げ場所に図書館も思い出してネ》と優しく呼び掛ける。学校軽視との声も消え苦しむ子を思う心情への共感が広がっている。

 2015年  9月  6日 ― 古めかしい中国のパレード ―
 中国は3日、「抗日戦争・反ファシズム戦争勝利70年」の記念行事と軍事パレードを北京の天安門広場で行った。6万5千人の警官と民間の警備85万人を動員する大掛かりなものであった。ミサイルや戦車など最新鋭の武器を公開し、習指導部は一連の行事を国民や軍の求心力を高める場と位置付ける。式典と軍事パレードにはロシアのプーチン首相、韓国の朴大統領が列席した。
▼式典は121年前の日清戦争の時代からさかのぼり演出されていたようだ。明治時代からの日本との関係を誇張しているようだ。日本が戦後70年での反省とお詫びの首相談話を発したときに残念な気持ちになる。歴史認識は欧米も含めて複雑なものになっているためか、今回、日米欧などの首脳がこぞって欠席する中、朴大統領の参加は中韓の蜜月を改めて印象付けた。
▼韓国は中国が大陸の隣国として複雑な事情があるのだろうか。日米韓の同盟関係、片や北朝鮮との関係とジレンマがあるにせよ、輸出総額の4分の1を占める最大の貿易相手国として経済最優先で配慮したのだろう。
▼習主席は会談で「両国人民は日本の植民地化と侵略に抵抗し、民族解放を勝ち取る闘争で団結し、助け合った」と語った。そんな形で中韓が共同歩調を取るようならば、溝はなかなか埋まらない。

 2015年  9月  5日 ― 東京五輪準備に失態つづく ―
 東京五輪・パラリンピックまであと5年。既に主要会場となる国立競技場は、建て替えのため建物は解体され諸準備も進む
▼一方で重要事項の撤回や仕切り直しも続く。新競技場は天に舞うような開閉式屋根など、英国在住の女性建築家による設計が見る人をわくわくさせたが、これも含め予算の膨らみすぎなどを理由に、今年7月に安倍総理が現計画を白紙撤回。規模を縮小した
▼決定し使用を始めた五輪エンブレム(象徴する図案)には盗作の疑惑が浮上。組織委員会が使用中止を発表し再募集している。どちらもチェックミスに起因する。厳しい目があれば事が進む前に対処できただろう。教訓を今後に生かしてほしい
▼暗い報道が続いたが国立競技場関連の明るい話題もある。昨年5月末に同競技場を管理する日本スポ―ツ振興センターが、建物解体に先立ち観覧席の約6500の「座席」を、北上市の北上陸上競技場に無償で譲ると伝えてきた
▼北上競技場は来年開催する「希望郷いわて国体」の主要会場だ。寄贈を喜ぶ市は募集したボランティアに座席取り外しなど移設作業を託す。昨年6月に取り外しを完了。来月10日には初の座席設置作業を予定している
▼市はボランティアの人たちには、設置する座席に自身の氏名を書いてもらうという。その心遣いも温かい。

 2015年  9月  4日 ― 歳時豊かな月に ―
 9月は短い月のうちに多彩な季節の行事がある。二百十日、二百二十日、白露(はくろ)、重陽(ちょうよう)、お彼岸、敬老の日、秋分の日、十五夜・仲秋の名月などである。
▼秋の結婚シーズンともいわれてきた。当地では毎年、盛岡八幡宮の秋の例祭があり、あちこちの神社でも秋祭りが催される。早くも収穫祭も始まるだろう。後半にはシルバーウィークの5連休がある。19日からの連休をどのように過ごすか、あれこれ考えている人も多いのではないか。営業関係は稼ぎ時でもあり多忙である。
▼山道のススキ、ハギなども花盛りで、ナナカマドの実も一層美しくなってきている。野菜や果実も熟し、収穫の秋を迎える。黄金に色どる稲穂が垂れて、早場米の出荷に入る。里芋の季節に入って、北上川のほとりでは芋煮会やジャンボ鍋で芋煮祭りが繰り広げられる。
▼山にはキノコが生えて、山菜取りのシーズンだ。盛岡八幡宮の祭典の日をキノコ取りの日に定めている人が多いようだ。二百十日はクルミやクリが蒸す日とされているが、今年はどうだろうか。県北の沿岸地方には芋の子会といった慣わしはない。
▼県北ではマメブが主流になっている。NHKの「あまちゃん」効果で全国の知るところとなった。食欲の秋、地元食の開発を積極的に進めたいものだ。

 2015年  9月  3日 ― 子どもへの応援の仕方 ―
 先日、朝の散歩をしていたら、「行ってきま〜す」と元気に家を出た中2子息の背を、父親がドーンと手の平で押し、「頑張れよ!」と語調を強める光景を見た
▼子息は踏ん張り切れず前のめりになって「危ないじゃないか」と口をとがらせ学校に向かう。お父さんは町内の顔見知りなのであいさつしたが、にこにこしながらも「新学期に親が応援しているのに、今の子は『はい、頑張ります』が言えない」と慨嘆する
▼一家の応援団長としての気構えが、わが子に伝わらないことにいら立っているのである。ただどんな激励も相手が深く感じて奮い立つなら意味はあるが、反発を招いたのでは価値を失うだろう。住友生命が先月発表した「応援」に関するアンケート調査の結果は興味深い
▼20代〜60代の男女を対象にした調査で、回答によると「応援したい人」のトップは「子ども」だ。父親の約6割も「子ども」と答えている。ところが「応援してくれる人」を問うと「母親」と答えた人は26・7%で「父親」は5・5%。この大差は父と子の意識のずれを物語る
▼「どんな応援がうれしいか」では多くのお母さんが自然に行う「称賛」「話を聞く」「見守る」が上位に並ぶ。子どもに応援が伝わらないお父さんは、お母さんの心遣いや忍耐力に学ぶ必要があるかもしれない。

 2015年  9月  2日 ― 秋の足音を実感 ―
 9月に入った。8月の異常と思える暑さに比べ、朝夕は涼気を感じる季節になった。会社から帰って、駐車場に車を入れるときにコオロギの鳴き声が甲高く聞こえる。
▼今夏は盛岡で7月26日から15日間連続で最高気温30度を上回り、猛暑というか、酷暑と言えるほどであった。よく耐えて、この夏を乗り切ったものだ。しかし、夏場の疲れが表面化して、消化器系統が弱ったり、体調がすぐれないなど、とかく健康を害しやすいのが季節の変わり目。それが思わぬ重病になることがあるので十分に気を付けなければならない。
▼立春から数えて二百十日、9月1日は大正12年のこの日、関東一円を襲った大地震、関東大震災が発生した日で、防災の日として災害の怖さを銘記する日として定められた。そして、二百二十日を迎えるころは毎年、台風の進路が気にかかる。
▼稲の開花は既に出そろって、水田の色が黄みかかっているが、黄金色になるのはもう少し後か。今年は収穫期が早まるのではないか。リンゴやナシなどの果実もそろそろ収穫期に入るが、クリやクルミなど野山の実もこれから熟す季節に入る。今夏は降雨量が極端に少なかったために、キノコの出は不調のようであった。
▼盛岡の秋祭りが近づいている。今年は9台の山車が市内を練り歩くとか。

 2015年  9月  1日 ― 千年後視野に中学生が挑む防災 ―

 3・11大震災は千年に一度の規模という。大津波で街も壊滅し町民の1割近くが犠牲になった宮城県女川町では、惨状を見た当時小学6年生の子らが翌月に中学1年になると、千年後の人たちの命をどう守るべきかと考え始める
▼皆でその年も次の年も意見を出し合い具体策が決まる。それは町内に21ある行政区の大津波最高到達地点を把握し、そこより高い所に「女川いのちの石碑」を建てるというものだ。石碑には「大地震が起きたらこの石碑より上に逃げてください」など心得も刻み未来への伝承を目指すという
▼数年をかけて21カ所に石碑を建てることにし、費用は1基45万円なので生徒たちは1千万円を目標に13年春から募金を始める。高額大口はやめて1口百円とし、個々の趣旨説明に力を入れた。全国の支援もあり半年で目標額を達成。地権者の許可も得て石碑の建立に着手する
▼町内2校だった中学校は13年春に1校に統合。石碑第1号はこの校舎前広場に同年11月に完成した。21基の石碑には生徒が詠んだそれぞれ異なる俳句も刻まれる。1号碑には「夢だけは壊せなかった大震災」の句が彫られ、若々しい負けじ魂を伝えている。建立は順調で各区に完成が相次ぐ
▼きょうは「防災の日」。千年後を視野にした中学生の真剣さに防災の精髄を見る思いがする。

 

2015年 8月の天窓へ